新潮学芸賞を受賞「ローマ人の物語1― ローマは一日にして成らず」を読んだ感想と伝えたい素晴らしさ

エッセイ

今回私が紹介する本は、「ローマ人の物語1― ローマは一日にして成らず」で塩野七生さんによる壮大な歴史シリーズ本です。

新潮学芸賞を受賞しています。

本のあらすじ


だれもが知るローマ帝国だが始まりは、あまり知られていません。
その起こりとなった出来事は非常に有名な出来事で伝説となっていますが、その出来事とローマ初代王との関係性は不確定であります。
それでも最も歴史的にたどれるのは紀元前753年、一人の若者ロムルスと彼に従う3千人のラテン人によりローマは建国されたということ。
7代続く波乱の王政の下で国家としての形態をローマは整えてゆく事になりますが、前509年、共和政への移行に至ります。
その後、成文法制定のために先進国ギリシャへ察団を派遣し、その時代の強国の絶妙な変遷のおかげでローマは滅びずに済み力を付けていくのでした。
ローマ人にとっては絶頂期のギリシアに何を見たのか、そしてどのように当時の最強国に対応していったのか。
比類なき大帝国を筑きあげた古代ローマの大きな基礎の確立の過程を垣間見ることができ、その一千年にわたる興亡の物語です。
この壮大なストーリーを読み解くとき読者は新たな広い視野を持つことができるかもしれません。

本から学んだこと


この本、言い換えれば作者塩野七生さんという女性のイタリアという個性に対する燃え上がるような情熱的な探求心を読み取ることができます。

一つの出来事、一つの描写、一つの対象に対する自身のこだわりや丁寧なアプローチを讃えずにはいられません。このような事は世に本を出す作家として当然と言われるかもしれませんが、適当に書いているのではないかと感じてしまう文章は有るものです。
しかし塩野さんにそれを感じたことは有りません。
その情熱こそが読者への誠意であり、学びたい点です。

本を読んで今後参考にしたいこと・役立てたいこと


ローマ人の物語を読んで、小説を書くことに興味を持つ私はタイトルの大切さを感じます。
これは紛れもなく本格派歴史書兼注意深い研究に基づく資料でありながら、物語と名付けている筆者の懐の深さを感じます。
売れる本を書くという観点からしても、興味深いタイトルを付けるという観点からも筆者が非常に親しみやすい方であると思う。
つまり筆者の読者へのホスピタリティを感じられる点、そこは是非とも手本にしたい点です。
そして本の執筆のタッチは、後に続くシリーズ本に比べスピーディーに読める読みやすさを感じます。それでシリーズ本は大まかな紹介でありながら、読み応えを感じるボリュームも大切であることが学べました。

本の感想


この本は、ローマ帝国という世界を変えた存在を小国として語り始めており、なんとも日本人の島国から世界に影響を与えて行きたいという願いにシンクロする部分があると思います。
非常に共感できるように感じます。
大国へと変貌していく過程での苦闘に興奮出来ます。

本のイマイチだったところ


大好きな本だけに欠点を上げるのは難しいのですが、ローマ人の物語というタイトルにして実は各時代の全世界を扱っている点です。
やはり、そこまでのスケールを扱うにはかなりの手腕とストーリーと世界の理解が求められることでしょう。
それゆえ、なんとも不確かな印象を与える部分もあったかもしれません。
古代イタリア半島の歴史に関しては文句ないと思われます。

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